ベンネヴィス Ben Nevis (1,344m) : 2009/8/31 [登山・ウォーキング:イギリス]
平らな国、イギリスでは標高1,344mのベンネヴィスが一番高い。8月の三連休、スコットランドにあるこの山に登りに行ってみることにした。
イギリスは祝日が少ない。年間8日で、8月の祝日が終わるとクリスマスまで土日以外の休みはない。この先、祝日もなく暗くて長い冬に向かっていくと思うと、この祝日にどこに向かうかは重要な問題だった。ウォーキングが盛んなこの国では、それほど高い山がないからか登山はあまり盛んではないが、イギリスに来たからには一番高い山に登っておこうと思い、スコットランドにあるベンネヴィスに行くことにした。
前日
同じイギリスでもスコットランドはイングランドにあるロンドンからは遠く、ベンネヴィスはその中でも北の方にある。まずは飛行機で一番近い飛行場のあるインヴァネスに向かった。空港をレンタカーで出るとポコポコと山が見える。イギリスのレンタカーは何も言わなければマニュアル車になってしまうのが普通で、かなりドキドキしながらの運転だったが、イングランドと違って山が見える景色は新鮮でちょっと落ち着く気がした。ここには彼の有名なネッシーのネス湖がある。山に登りに行こうと思ったら、思いがけず小学生の頃から馴染みのあるネッシーの故郷を訪れることになるなんて、やっぱり人生は不思議だ。
当日の朝 9:20出発
そして翌日、ネス湖の横を通りベンネヴィスの登山口へ向かう。生憎の雨で、テンションは思い切り下がるが登山口に着くと登っている人がたくさんいたので、行ってみるかと登ることにした。
まずは顔が黒い羊の間を進む。羊を見ると店頭に並んでいた村上春樹の本を思い出す。
登り途中
雨は降ったりやんだり。景色も見えたり見えなかったりと、パッとしない感じだか登るにつれて徐々に山が連なっているのが見えてくる。8月なのにスコットランドはほぼ秋、 緑の色も少しくすんできており、雨が降っていてとても冷える。緑の中に家がポツポツと広い敷地を持った家々が並んでいて羨ましい。日本と似ているようで、やっぱり違う景色だ。
道はきちんと整備されていて、勾配もそれほどきつくない。登っていくと高校生くらいの団体が登ってきた。引率の先生っぽい人はいるのだが、みんな軽装でスニーカーに雨が降っているのに雨具無し、中にはハンドバックの子とかもいて、もしかしたらこの山は、高尾山的な存在なのかなと思った。彼らの喋っている言葉が英語っぽくなかったので、もしやゲール語かなと思ったが真偽のほどはわからず(たぶん違うかな)。スコットランドはイングランドとの間に長い歴史があり、前日に訪れたインヴァネスはいわゆるジャコバイトの反乱の終焉の地、また道路標識も英語とゲール語の併記がされているなど、歴史を感じる場面が多々ある。
道は危険なところは全くないのだが、ずっと単調。ジグザグを繰り返しながら登っていくが、あまり変化がないので少し退屈な道だった。
高度が上がるに連れて、雨が強くなってきた。横殴りの雨になってきて、ゴアテックスの雨具を着ていても体がかなり冷えてくる。
山頂 13:00
山頂につくタイミングでやっと雨がやみ、一息ついた。思ったよりも平坦な山頂でたくさんの人がいた。下の景色は雲が流れて見えたり見えなかったり。ここより高いところはイギリスにはない。とても風が強いので、濡れた体が冷えないように陰に入って軽く食事をとる。
標高は1,300m程度だが、高山の雰囲気。岩、岩で緑はほとんど無い。
下の写真の右上が山頂エリア。コース上に危険なところはないが、山頂のすぐ下は絶壁になっているので霧でも出てコースを外れると危ないかもしれない。
下の方に見えるのは、フォートウイリアムの街。この辺りはスコッチウイスキーの蒸留所が多数あり、フォートウイリアムにはニッカウヰスキーがバブル期に買収した、その名もベンネヴィス蒸留所がある。今回は日程が合わずここは見学出来なかったので、グレンフェディックの蒸留所を見に行ったが、ウイスキーの蒸留所は近寄るだけで酔っ払いそうな甘い香りがして良い雰囲気だった。
下山中
下りは天気も回復し、登りに見えなかった遠くの山も見える。登りの時は体が冷えて、これがひどくなると低体温症になるのかなと思ったくらいだが天気が回復してくれば気持ち良い下りだった。イングランドでは車で2、3時間走っても山は一向に見えないがハイランド地方といわれるだけあり、この辺りは山が連なっている。やはりこういう景色をみると落ち着く。
15:30 下山
快調に下り、登り3時間半に対して下りは2時間ちょっと。道や勾配は単調なのでちょっと退屈な場面もあったがそこはイギリス最高峰、富士山に登る前に登ってしまったが、なかなか充実感があった。イギリスにはあまり登りにいける山がないので、なかなか山登りが出来ないのだが、たまの山登りをきっかけに今までまったく興味がなかったスコットランドの歴史なんかにも興味を持てたり、貴重な体験だった。
翌日に訪れたグレンフェデックの蒸留所。ここはかなり観光客ナイズされていて、30分おきくらいに無料のガイドツアーが行われており、ガイド自体は英語だが日本語の案内映像やパンフレットが置いてあり、気軽に見学ができる。試飲で飲めるウヰスキーはちょっとビックリするくらいおいしかった。
ちなみに今回使ったのは下のガイドブック。ベンネヴィスに関わる部分はほんの一部だが、コース案内と地図は一応載っている。この本では山頂を周遊するコースだが今回は天気が悪かったのでピストンのコースを選択した。
Ben Nevis & Glen Coe (Collins Rambler's Guide)
- 作者: Townsend
- 出版社/メーカー: Harpercollins Pub Ltd
- 発売日: 2000/05
- メディア: ペーパーバック
(おわり)
ヨーロッパ各国の最高峰、興味があります。
なんとも言えない緑の色合いの山肌が魅力的です。
そしてスコッチも!モニター越しに芳しい香りが漂ってきそうです♪
by montblanc (2009-11-16 20:53)
ロック・ネスを通ってインバネスに抜けたことがあるんですが、
車道から見える風景も高地に来たのかなと思わせるほどの
景観でした。
しかしこの山頂風景はすごいですね、冠雪していたら
かなり危険ですね。そして標識もなさそうだし。
by いっぷく (2009-11-17 10:41)
こんばんは。
高くはないですが緯度が高いので寒いのでは?
風景はなんとなく礼文島に似ているような気がしますが。
スコッチは美味しそうですが、下戸の私には……。
by 山子路爺 (2009-11-17 20:12)
>montblancさま、
ほんと緑の色がなんともいえず不思議な感じなんですよね。
植生の違いなんでしょうか。蒸留所は建物の外にいても、酔いそうなくらい強烈な香りで、匂いと本場の雰囲気に酔ってしまいました!
>いっぷくさま、
ネス湖沿いの道は、僕も車で走りましたがとても気持ちのよい道ですよね。ネッシーは残念ながら影も見えませんでしたが。ベンネヴィスの道は、ほぼ一本道なので迷いづらいとは思いますが、のっぺりとしているので雪が降ったり霧がでると道が分からなくなりそうです。
>山子路爺さま、
確かにイギリス北部の風景は礼文やサロベツ原野の景色と似ている気がします。この辺りは北緯57度らしいので、夏でも雨に濡れると凍えそうでしたし、天気の移り変わりがとても速かったです。スコッチは匂いだけでもなかなか楽しめます!
by hiko (2009-11-19 08:23)
天気が悪い、、、と言われても、
写真はどれもとてもロマンチック~~~。
どこも異国情緒を感じるのはなぜ?
黒い顔の羊、思い出しましたよ。
学生の頃、国語科だった私は村上春樹の羊を講義でやりました。
非常に眠くて理解不能の話だったなぁ~。
今思うと、なぜ私が国語を専攻してたのか全く持ってわかりません。
by さるぼぼ (2009-11-29 12:43)
イギリスにはよく行きましたが、なんとなくなだらかな丘陵地がおおいというイメージを持っていました。
イギリスにこのような山があるとは知りませんでした。
by Jetstream777 (2010-02-19 09:23)
長い間ブログをホッタラかしてしまいましたが、コメントありがとうございます。かなり!!返信が遅くなってしまい大変申し訳ありませんが、、、、
>さるぼぼ様、
確かに山の風景でも何となく日本とは違う雰囲気なんですよね。緯度の違いとかもあるのかもしれません。
専攻、、、僕も学生時代は農業を専攻してました。当時は、専攻と全く関係ない仕事でイギリスに住むとは全く思いもよりませんでした。不思議だなっと思います。
>Jetstream77様、
はじめまして。
そうですね、ロンドン周辺のイングランドはなだらかな丘陵が多い気がします。山登りというより、丘陵地帯を歩くウォーキングが人気があるようです。西部のウェールズやイングランド北部、スコットランドには、結構山があるみたいです。日本やヨーロッパほど高くはありませんが。いろいろ行ってみたいなと思ってます。
by hiko (2010-03-03 06:48)