2012 凱旋門賞 Qatar Prix de l'Arc de Triomphe : 2012/10 [旅行:ほかヨーロッパ]
嗚呼、オルフェーヴル。
凱旋門賞。海外に大レースは数あれど、日本人にとってこのレースは特別な存在。イギリスの馬がフランスに、アメリカの馬がイギリスに遠征するのは何も特別な事ではないのだが、日本の馬がフランスに遠征するのは、増えてきたとはいえ、未だ特別なことなのである。
なにはなくとも凱旋門賞に挑戦というと、大レースは凱旋門だけではないのに。。。という批判的な意見も出るが、凱旋門賞への挑戦には1969年以来の歴史がある。古来、自身を遅れているものと自覚し、先進に追いつけ追い越せと頑張ることには、無限の力を発揮できる日本人の挑戦のうち、無し得ていないものの一つが凱旋門賞の優勝だ。一ファンの立場としては、なんでも良いからとりあえず1回勝ってほしい!というのが偽らざる心境なのである。
しかも今年は三冠馬、父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンであるオルフェーヴルの挑戦は応援せずにはいられない。1991年のジャパンカップでマックイーンがゴールデンフェザントにあっさりと敗れ去り、日本の競馬のレベルはまだまだ低いと感じさせられてから20年。時代は変わった。2年前に見に行ったときは、ナカヤマフェスタ2着で悔しい思いをしたが(その時の記録)、 今年はいけるのでは、と思い再びロンシャンに向かった。
2年前と同様にレースのスポンサーはカタール馬事クラブ。もはや世界中の競馬はオイルマネー無しではたちゆかない。フランスの競馬場の雰囲気と中東のミックス。フランスの着飾った人々がいる一方で、中東の民俗衣装を来ての出し物など、エキゾチックな雰囲気が醸し出されていた。
2年前とは比べ物にならないくらい、日本人の姿も目立ち、日本人専用の馬券売り場まで開設されていた。競馬場前ではオルフェーヴルのロゴ入りマフラーが販売(カタカナ入り)、場内のギフトショップも日本人で一杯。
天気はよく、広い競馬場は気持ち良い。ことしもイギリスのエージェントを通じて、スタンドのチケットを購入。前日までは天気はよくなかったが、この日は快晴。この日はGⅠレースがいくつも行われていたが、凱旋門賞が待ち遠しい。
内枠が絶対有利だといわれる凱旋門賞、その理由はこの仮枠にあり。当日も何レースか前になるまで、仮枠は取り除かれず、内側の良い馬場状態が保たれる。そのため、オルフェーヴルの入った18番枠は一番不利とされている。
なにはともあれ、昨日までの雨が嘘のように天気が良くてよかった。しかし馬場は相当な重馬場。凱旋門賞の前に行われた2400mのレースでは2分40秒近くタイムが掛かっていた。
誘導馬は女性が腰かけて誘導。こちらのほうが、普通に乗るよりも断然難しそう。 服装がシックで良いですね。
仮枠が外れたコースはとてつもなく幅広。
凱旋門賞直前、パドックは関係者で一杯に。
そして華やかさもま満開に。
いよいよ、オルフェーヴルの登場に。あれ、池江調教師って、こんな顔でしたっけ。。テレビで観たのと違うような。。。
今回の凱旋門賞は日本でもエリザベス女王杯を2連覇したイギリスのスノーフェアリー、凱旋門賞とキングジョージを勝ったドイツのデインドリーム、またナサニエルなどの超有力馬が続々と回避。イギリスの二冠馬で、惜しくもセントレジャーで敗れたキャメロットは直前になってデットーリで参加表明、
そして地元フランスの今年のダービー馬サオノワが有力な馬だった。サオノワは地元だけあって大変な人気。
日本のオルフェーヴルの騎手はクリストフ スミヨン。ベルギー出身でフランスで活躍している騎手で凱旋門賞も既に2勝している。池添騎手からの乗り替わりについては色々議論があったが、ロンシャンでベストな騎手が日本人なら言うことはないが、スミヨン騎手はベストな騎手の一人なのだから、むしろ心強い。頑張ってくれ~と念を送った。
とても落ち着いて歩いているように見えた。
栗毛は日の光を浴びると美しい。ステイゴールドは黒鹿毛、メジロマックイーンは芦毛、はてこの馬の栗毛はどこから?と思って血統表を見るとディクタス、リマンド、そしてノーザンテーストは栗毛。しかもノーザンテーストの3×4なのですね。
日本ともイギリスとも違ってフランスのパドックは、オーナーとメディア他関係者でいっぱい。よく、こんな中を落ち着いて馬が歩けるものだと、感心する。
スミヨン騎手が乗って気合い十分。パドックからレーススタートまで、こちらのレースは短いのでこの後ダッシュでスタンドに戻った。
いよいよ本馬場入場。あ~なんだか緊張します。
アヴェンティーノと常に2頭一緒。オルフェーヴルが落ち着いていられるのは、この馬がいるお陰なのかもしれな。欧州競馬におけるラビット、競馬をチームプレイトして捉える合理的なシステムだが、一応単勝馬券も発売しているのだから、ちょっとどうなのとも思ってしまう。
いよいよ、スタート、オルウェーヴルのスタートも悪くない。
オルフェーヴルは後ろからの競馬、最後方から2番手くらいを進む。折り合って良い感じでずっと進み、フォルスストレートでもまだ動かず。そして4コーナーを曲がり、最後の直線600m、ほとんど鞭もつかわずに、ものすごい勢いでオルフェーヴルが上がってきた瞬間は自分の競馬人生で間違いなく一番ゾクゾクした瞬間だった。それまで大人しく競馬を観戦していた日本人夫婦がここにきて、「行けぇぇぇ~~」と突然絶叫しだしたので、驚いた隣のフランス人のおじさんと思わず目があった。そして、無言でほほ笑んだそのおじさんは、「すごいじゃないか、日本の馬は。」と言っているように確かに僕は感じた。
本当に勝ってしまう、あ~勝ってしまう、どうしよう。。。でも自分はオルフェーヴルの単勝は買っています。ラスト200m、これは圧勝だ、何馬身離すのだ、離すのだ、すごい、凄すぎるとパニックになりながら見ていたら、オルフェーヴルは内にササリだした。。
でも、後ろからは何も来てないし、大丈夫だ、頑張れ!頑張ってくれぇぇぇぇ!!!!と思っていたら、なんと一度差したうまがグングン迫ってくる。なんだ白い帽子は一体。パニックになっているうちに、ゴール板を過ぎていた。
あれ、負けたの????ちょっと信じられない光景だった。茫然と立ち尽くしている自分。後で妻に聞くと、「なんだあれは。勝てたよ。」と壊れたスピーカーのように繰り返し言っていたらしい。
いわゆるソラを使ったのか、苦しくてよれたのか、プロでもないのでよくわからない。スミヨン騎手の騎乗についても、素人目でみれば完璧だと思う。大外枠スタートながら、道中ほぼロスもなく、あそこまで我慢できる騎手は日本にもどこにもいないであろう。4コーナーでしかけてから、一瞬で先頭に立ってしまったが誤算かもしれないが、あれを早仕掛けというのはあまりに結果論。
レース後場内に流れていた正面から撮影したカメラでは、右鞭を入れまくっているのに右に曲がっていくオルフェーヴル、最後はバランスを崩してラチに当たっているように見えた。
あの馬は自由すぎるんだよ、競馬とか関係なくて自分が一番になったから走るのやめたんだよ、とは競馬に特に興味があるわけではない妻の言葉。
勝ったのはソレミア。 ノーマークだった5歳牝馬。サドラーズウェルズの系統で重馬場は強いらしいが、そんなことは知らない。しかもまたペリエ。海外の大レースで彼の勝利インタビューを聞くのは何度目だろう。 今日だけは聞きたくなかった。
無情にもオルフェーヴルは2着。不良馬場の中、その他の人気馬は総崩れとなり、馬券的には大崩れだった。自分の周りはアイルランド人の団体もいたのだが、キャメロット撃沈でシーン、フランキーはだめだ、ブツブツと不満の声も聞こえていた。
また2着。勝っていれば君が代が流れ、優勝馬の日本人関係者は馬車に乗って登場、というシーンはまたしてもお預けになってしまった。坂の上の雲、競馬のレースを例えるのにふさわしいのか分からないが、またしても日本の競馬は手が届かなかった。しかし、もはや完全に射程圏内、日本の血統の馬がここまでこれているのだから、海外遠征などと仰々しい言葉が使われずに海外のレースに普通に出走し、普通に優勝することもそう遠くない未来だろう。
しかし、オルフェーヴルはなんと魅力的な馬なのでしょうね、本当に。一生忘れられません。
(おわり)
ディープインパクトもオルフェーブルも超一流馬ですが、勝てませんでしたね。 本当に残念です。
フジTVの録画をみて、4コーナーからの直線は大変長く感じました。
来年再挑戦できたら、不安もありますが、楽しみです。
by Jetstream777 (2012-10-28 23:03)
>jetstream777さん、
本当に腰が抜けそうになりました 笑
圧勝すると思ったのですけどねぇ。。なかなか思い通りには
ならないものですね。
by hiko (2012-10-29 07:59)
また、このレースに挑戦する日本生産・調教馬が出てくることを楽しみに待ちます。
池江調教師の写真で癒されました。
by Extra-Low (2012-10-30 22:44)
>Extra-Lowさん、
いつか必ず、その日は来るでしょうね!楽しみはそれまで
取っておきましょう。池江調教師、別人ですよねぇ!?
by hiko (2012-10-31 08:18)