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凱旋門賞 Qatar Prix de l'Arc de Triomphe : 2010/10/3 [旅行:ほかヨーロッパ]

惜しい2着。ロンシャン競馬場で歴史的瞬間を目の当たりに!と思わせてくれた一瞬は確かにあった。

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とうとう凱旋門賞。ヨーロッパの競馬といえば、エプソムダービー、キングジョージ、グランドナショナルと凱旋門賞、イギリスに居るうちにこれらは見ておきたいと思っていた。去年ダービーを観戦し(その時の記録)、今年の7月にはキングジョージを観戦する機会に恵まれた(その時の記録)。そして凱旋門賞の季節がやってきた。

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凱旋門賞と聞くだけでワクワクする。だれが決めたかは知らないが、世界最高峰のレースと呼ばれ、賞金額も現在では最高、それでもって名前が反則みたいなもので凱旋門の下を馬が駆け抜けるような華やかな感じがする。そもそもフランスカップとかそんな名前だったらあまり観に行きたいとは思わなかっただろう。
今年は日本からも2頭の馬が参戦と、更に楽しみを増す要素が増え、テンションを上げながらロンシャン競馬場に向かった。


ロンシャン競馬場

ロンシャン競馬場はパリの外れ、今年のパリマラソンで走った(その時の記録)ブローニュの森の中にある。凱旋門賞の当日はPorte d'AuteuilとPorte Maillotの二つの駅から無料シャトルバスが出ているとのことだったので、Porte d'Auteuilからバスに乗ることにした。ネットで調べると目茶苦茶混むらしいとのことで、ちょっと心配だったが、確かに出発時にはギュウギュウ詰めになるものの、頻繁に出ているのでちょっと待てば座れ、特に移動に問題はなかった。

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12時ごろに到着し、最初のレースまではまだ1時間くらいあったが場内は結構な人の出だった。ロンシャン競馬場は意外とこじんまりとしていて、それがなお更人の出を強調していたのかもしれない。数年前からカタールのカタール・レーシング&イクイストリアン・クラブ(QREC)が、凱旋門賞のスポンサーとなっており、賞金総額€6,000,000、1着賞金€2,285,600、2着でも賞金€914,400と超高額賞金レースとなっている。レースの正式名称も”Qatar Prix de l`arc de Triomphe"で、あちこちに中東の衣装をまとった女の人がいるブースが出ているなど、中東オイルマネーさすが!という雰囲気を醸し出していた。

この時期、ブルカ禁止法案が可決されてパリでは少しテロ懸念が出ていたが、中東の王族が集まるこの競馬場はパリで一番安全な場所かもしれないなんて思ったりした。

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凱旋門賞といえば女性の帽子が見ものというイメージを持っていた。Moetのシャンパンブースが複数出ていてポッシュな雰囲気が漂い、綺麗な帽子の人もたくさんいるものの、個人的な印象では正装率はイギリスの競馬場の方が高く、ある程度カジュアルだったり、ラフな格好の人も結構多かった。
が、素敵な格好の人はとことん絵になる風景に溶け込んでいた。

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中に木が植えてあるパドックもとても混み合っている。髭の馬主風の人をみると、あの人もこの人もみんな王族なのか!?、やっぱ王様の道楽はちがいますなぁとちょっと卑屈な気持ちになってしまう、そんな素敵な空間だった。        

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凱旋門賞の当日も8ユーロの入場料を払えばだれでも入れるのだが、せっかくなのでグランドスタンドのリザーブシートを取った。ネットで色々と調べたのだが、指定席を買う方法がどうしても見つけられず、イギリスのブローカーを通して入手した。定価は70€だがコミッション込みでは90£と結構値が張る。チケットを探し出したのが8月とちょっとタイミングが遅かったのかもしれない。ただゴール板からはちょっと離れていたものの、レースを見るにはかなり良い場所だった。

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凱旋門賞よりも前のレースは前座のような気分で眺めていたが、当日は9レース中最終レースを除いた8レースがGⅠ(アラブ含む)と豪華なレース構成となっており、目の前で続々とGⅠレースが誕生していく。

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レースが進むにつれて人も増えてくる。ゴールが近づいてくると立ち上がって絶叫、当たった人はレース後におおはしゃぎという風景は綺麗な格好をしていようが万国共通の風景だった。

        

日本のナカヤマフェスタとヴィクトワールピサの2頭が参戦しているだけあって、日本人の人がたくさんいた。場内では、フランス訛りの日本語で”日本の皆様、ようこそロンシャン競馬場へ...”といったアナウンスや、インフォメーションデスクでの日本人による馬券の買い方説明などもあったりとかなり主催者側も日本人対応をしっかりとやっている印象を受けた。

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凱旋門賞

場内のモニターに武豊騎手が映ったりとレースが近づくにつれて徐々に気分が盛り上がってくる。

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赤い服に黒い帽子の鼓笛隊、これはイギリスのものだと思っていたが、そうではないらしい。

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そして本馬場入場、ナカヤマフェスタは一頭だけえらく入れ込んでいるように見えた。

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ヴィクトワールピサがとても落ち着いていたが、心なしか細くみえた。

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そして13番のワークフォース、前回のキングジョージであっさりと期待を裏切ってくれたダービー馬はキングジョージ以来のレースだった。

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場内のモニターでは各馬の紹介、当然のように日本の馬の時には、またまたフランス訛りの日本語で”今年の宝塚記念を勝った馬デース”とか”今年の皐月賞を勝った馬デース”とアナウンスで流れていた。

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今年の凱旋門賞は1頭取り消しで19頭立ての大混戦。一番人気の馬でも4倍と傑出した馬が存在しない。ワークフォースがキングジョージを勝っていれば圧倒的な存在となっていたはずだが、キングジョージで惨敗したことにより訳が分からなくなった。さらにキングジョージを圧勝したハービンジャーは故障で引退となり、一番人気に押しだされたのはパリ大賞典でGⅠを始めて勝ったベーカバド。次いでフェームアンドグローリー、ワークフォース、ブラントゥールと続き、日本馬2頭は単勝20倍程度とその他大勢の評価だった。

前走でよくわからない馬に負けてしまっているので、まあ仕方がないかもしれないが、フォワ賞の映像を見ると、ナカヤマフェスタは何とか上位にこれるのではないかと思っていた。ただ失礼ながら主役かどうかは疑問だった。

そしてゆっくりとしたゲート入りを経て、レースはスタート。19頭一団スローでで進み、ヴィクトワールピサは中段後ろのインとちょっと絶望的な位置。対してナカヤマフェスタは中段外側で、不利はあったものの、良い手ごたえで上がってくる。

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最後の直線に入り、更に伸び脚が加速し、ワークフォースとの一騎打ちに。こういう場合は外側の馬が勝つものだ!と、競馬場入りしていらいカメラ小僧と化していた僕もカメラを置いて、相方と行けぇ~と声をあげて応援した。日本の馬が凱旋門賞で勝つ、僕が競馬を好きだった1990年代前半までには考えられなかった偉業が成し遂げられるかもしれない、最後の20秒くらいはそんな思いが頭をよぎりながら、声を張り上げた。

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しかし差は詰まらずにゴール。勝ったのはワークフォースだった。キングジョージであんなに不甲斐なかった馬がこんなに強いとは。。後ろのイギリス人のおじさんが僕らに拍手で祝福をしてくれたが、永遠に詰まらなそうに見えた小さな着差と逃した魚の大きさにしばし呆然としてしまう。

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ナカヤマフェスタはレースが終わってもまだ荒れていた。まだまだ元気。

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ヴィクトワールピサは残念な結果となったが、もうちょっと短い距離の方が合うのかもという印象だった。

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ワークフォースは今年、英ダービーと凱旋門賞に勝利。今年の最強馬なのだが、そうするとキングジョージを圧勝したハービンジャーはどうなってしまうのだ!!ということになってしまう。もう叶わぬ再戦を評価するのも競馬カルチャーの醍醐味でもある。

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凱旋門賞の表彰台は馬に曳かれて登場してきた。

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優勝馬の関係者は馬車に曳かれてパドックから表彰台へ移動。この辺りはとても華やか。

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表彰式では優勝したワークフォースの国であるイギリスの国歌が流れていた。ということは日本の馬が勝った時には君が代が流れるのか、と思うとまた悔しさがちょっとこみあげてくる。
しかし今回の結果は快挙だと思う。これまで海外で活躍した馬はなんだかんだで外国産の日本調教馬だったり、外国血統だったりしたが、ナカヤマフェスタは日本で生まれたステイゴールド産駒で父内国産馬、やはり競馬は父内国産馬が活躍していかないと、いずれ廃れてしまうと思う。

凱旋門賞の雰囲気を楽しみにいったが、日本馬の活躍で楽しさは倍増、ちょっと悔しさも残るが、ナカヤマフェスタの複勝が9倍もついたので、まいっかと競馬場を後にした。いつか、日本の馬が凱旋門賞を勝つ日がきっと来ると思わせるレースだった。

(おわり)


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コメント 5

Jetstream777

fujiTVの競馬中継よりずっと面白かった。(^_^)v
ナカヤマフィスタ惜しかったですね。
ビクトワールピサ、日本に帰って頑張って欲しいですね。
応援している馬です。(笑)
by Jetstream777 (2010-10-11 12:18) 

montblanc

イギリスのスポーツ(競馬も?)は歴史と伝統を感じさせますね。
赤い制服を着た近衛兵の特徴的な帽子、Bearskinというのですね!
その素材と由来を知って今さらながら、びっくりです。
先日「ブライドルウェイ」という言葉を知りました。
イギリスでは馬も移動手段なのでしょうか?
by montblanc (2010-10-12 20:38) 

hiko

>Jetstream777さま、

本当に惜しかったですね。日本の馬が頑張ってたので
かなり興奮しました(^^ゞ
競馬も更にボータレスになっていきますね。

>montblancさま、

イギリスもフランスも日本に比べれば、まだまだ浅い歴史のはずなんですが、確かに伝統を感じさせる場面は多いかもしれませんね。
うちの近所は馬に乗った人用の押しボタン信号があったり、道のあっちこっちで馬糞を見かけたりします(^^ゞ
by hiko (2010-10-14 04:34) 

いっぷく

凱旋門賞は映像では見ましたが現地に行かれたんですね。
一度見てみたいうちの一つですよ。
頭一つの差ぐらいだったのかな残念ですが2着もすごいです。
日本の芝よりも芝が深そうだからそれを考慮すればよくやりましたね。
by いっぷく (2010-10-15 20:27) 

hiko

>いっぷくさま、

本当に惜しかったですね。確かに日本とはコースも芝も違うのでそのハンディを超えてですから、価値はあると思います。
競馬場には、なぜかというかやはりというかイギリスの人がもの凄くたくさんいました。。競馬好きな国民性なんですね。


by hiko (2010-10-16 17:04) 

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